瀕死のオジー渾身の作品、マッドマンが放つオーディナリーマン。
『ORDINARY MAN』はOZZY OSBOURNE(オジー・オズボーン)が2020年に発表した12枚目のアルバムです。
前作「SCREAM」から実に10年ぶりの新譜となりました。
近年はパーキンソン病の告白、加齢による体調不良、脊椎の怪我、ワールドツアーの延期と、身体の衰えが目立つオジー。
もう作品を届けることは難しいのかとも思ってましたが、そんな彼の新譜を聴けたのがめっちゃ嬉しい。
ギターに盟友ザック・ワイルドが参加していないのが残念だったけれど、そんな事が気にならない素晴らしいアルバムでした。
オジー・オズボーン 12thアルバム『ORDINARY MAN』
<アルバム曲目>
01. 「ストレート・トゥ・ヘル - Straight to Hell」
02. 「オール・マイ・ライフ - All My Life」
03. 「グッドバイ - Goodbye」
04. 「オーディナリー・マン feat. エルトン・ジョン - Ordinary Man」
05. 「アンダー・ザ・グレイヴヤード - Under the Graveyard」
06. 「イート・ミー - Eat Me」
07. 「トゥデイ・イズ・ジ・エンド - Today is the End」
08. 「スケアリー・リトル・グリーン・メン - Scary Little Green Men」
09. 「ホーリー・フォー・トゥナイト - Holly for Tonight」
10. 「イッツ・ア・レイド feat. ポスト・マローン - It's a Raid」
11. 「テイク・ホワット・ユー・ウォント feat. ポスト・マローン&トラヴィス・スコット - Take What You Want」(ボーナス・トラック)
12. 「ダークサイド・ブルース - Darkside Blues」(日本盤ボーナス・トラック)
・リリース:2020年
・スタジオ:ー
・レーベル:EPIC RECORD
・プロデュース:アンドリュー・ワット
<メンバー>
オジー・オズボーン - ボーカル、ハーモニカ
アンドリュー・ワット - ギター
ダフ・マッケイガン - ベース
チャド・スミス - ドラムス、パーカッション
スラッシュ - ギター(#01,04)
トム・モレロ - ギター(#08,10)
チャーリー・プース - キーボード(#01)
エルトン・ジョン - ピアノ、ボーカル(#04)
ポスト・マローン - ボーカル(#10,11)
トラヴィス・スコット - ボーカル(#11)
個人的レビューその他もろもろ
前作から10年と、かなり期間の開いたなかでリリースされた自身のソロ12作目。オジーの体調面の不安が囁かれていた中、様々なゲストミュージシャンを迎えて制作されました。もうオジーも70歳なんですね、インタビューを見るとかなり弱ってるような、結構大丈夫なのか??みたいな雰囲気だったですが。歌はしっかりとオジー節が健在でした。
タイトルや歌詞には「Goodby」「all my life」「under the graveyard」と死や終末を意識したものが多く見られます。最近のビートたけしをみても思うのだけれど、オジーも最近インタビューで自身の事を語る発言が鬱っぽいというか、終わりを意識した暗めの発言が多く見られるんですよね。そういった感情が歌詞に反映された曲も多く見受けられます。元々彼はこういった題材を扱う方ではあったけれど、でも彼自身も今の年齢なんかを考えて、これまでの人生を振り返る場面が多くなったのだろうかなと。ただそれは人生ソング的な意味合いで、今の僕自身が聞いても全然受け入れられるんですけれどもね。御年70歳でワールドツアーをするとなると普通にしんどいだろうけど、一度リアルなオジーを日本で見たいと思ってます。
とはいえ70歳とは思えない元気なオジーも健在で、#01はオープニングを飾るに相応しい攻撃的なリフの勢いのある曲です。#08もスピード感のあるリズムがカッコよく、オジーの歌い方とマッチしていて僕もお気に入り。#10もギターが爆発しててハードロックしています。僕個人、トム・モレロのファンって訳じゃないのに、彼の参加する曲(#08、#10)が好きでしたね。改めて彼の作品を聞いてみようかななんて思いました。
バラードやメロウな雰囲気の曲も多く、どれも良作です。特に#04はエルトン・ジョンが参加したメロディアスで泣ける曲だし、#05はサビがダークでヘヴィさのあるミドルテンポの曲。
ボーナストラックの#11はポスト・マローン、トラヴィス・スコットとの共作で、コレが凄い良くてビビりました。全然知りませんでしたが、このコラボ曲が2019年にヒットチャートに入り、それをきっかけにこの新作『ORDINARY MAN』を製作するに至ったって話らしいですね。ポスト・マローンもトラヴィス・スコットのどちらも聴いたことがなかったし、彼らはジャンルとしてはHR/HMの人では無いんですけれど。なので出来上がった曲もジャンルレスな雰囲気なんですが、歌い出しのオジーのしゃがれた声が凄く雰囲気があって、その後のラップの語り(おそらくトラヴィス・スコット)に繋がっていくところとかすげーカッコいいです。
個人的オススメ曲
#04「Ordinary Man」
タイトルトラックのバラードであり、ピアノはロケットマンことエルトン・ジョンが弾いています。オジーとは音楽ジャンルが違うし接点があると思っていなかったので、彼らが友人だってのは意外でした。マッドマン(狂人)と呼ばれた彼が、オーディナリーマン(普通の人)と歌うのはアイロニカルで目を引くけれど、ステージを降りた時の本当の彼の姿は実は普通の人だったのかもしれない。歌詞に「普通の人で終わりたくない」って歌詞があるように、ブラックサバスから離れ、酒とドラッグでボロボロになりながらも幾度となく奇跡の復活を遂げたオジーの人生観が歌詞の随所に見られます。スラッシュのギターソロも勿論カッコいいですねぇ。
#05「Under the Graveyard」
PVは若かりし日のオジーと妻シャロンの物語風で面白い。オジー役は、ヴァル・キルマーの息子でジャック・キルマーが演じているのだけれど、顔や服装、体型まで凄く似てます。「ブラックサバス」を解雇された後、酷いアルコール依存とドラッグに溺れてボロボロのオジーを救い出し、再起させるまでのシャロンとの物語って感じのストーリーです。シャロン役の女優さんがかわいいです。実物のシャロンよりもかわいいです(当たり前ですが)。
#11「Take What You Want」
ポスト・マローンってミュージシャンについて全く知らなかったのですが、凄いいい曲ですねぇ。全くメタルじゃないけれど、ジャンルがミックスされた曲で、オジーの声や歌い方がマッチした曲で、これならオールジャンルの人から支持されて売れたんだろうなって感じがしましたね。ポスト・マローンは今現在は全くメタルの人じゃないんですけど、小さいころからオジーのファンだったみたいですね。
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