たださびしいだけ、ただせつないだけ、ただ不安なだけ。
腹が減っていないのに、何か作って食べる。
ふと冷蔵庫を開けて中を覗く。
喉が渇いていないのに、水を飲む。
やたらとコーヒーを淹れて飲む。
飢えている訳じゃない、渇いている訳じゃない。
ただ何となく、だ。
ネットで家電を注文する。
ショップで季節の洋服を購入する。
まだ使えるものばかりなのに、新たなもので暮らしを囲む。
必要な訳じゃない、壊れた訳じゃない。
ただ何となく、だ。
行きつけの居酒屋へいく。
ひとり、気ままに飲む。
帰ればいいのにバーへいく。
いつも常連たちには馴染めず、またひとり飲む。
帰りのコンビにで無駄にアレコレ買う。
フラフラに酔ったままシャワーを浴びる。
倒れこむようにベッドに入る。
だるさを残したまま朝を迎える。
昨夜コンビニで買ったものが床に散らばったまま家を出る。
赤信号を待ちながら、昨日の行動を後悔する。
何がしたい訳じゃない、楽しみたかった訳じゃない。
ただ何となく、だ。
本当に必要なことは何もしていない。
ただ何となく、だ。
ただ何となく消費して、浪費して。
ただ何となく満たされたように思い込み。
ただ何となく紛らわしている。
本当に必要なことなんて何一つ分かっちゃいない。
それだけは分かっている。