GloryDazeDays

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春の雪

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[http://photo credit: bluishgreen12 Second snow via photopin (license):title]

 

今朝外へ出たら、雨交じりの雪だった。
霙(みぞれ)のような雪だった。
季節はもうほとんど春だというのに。
昨日からやたら寒い日が続いている。
 
道は濡れ、滑りそうで不安はあるが、この時間からではバス通勤は難しい。
視界の悪いメット越しに左右を見て、原付で慎重に走り出す。
祝日の朝の割りに、意外と道は混んでいた。
空いていると思って選んだルートも、信号につかまり長蛇の列。
この交差点を渡るまでには3、4回赤信号を待たねばならない。
濡れながら、進まない道をただひたすらに待つ。
 
そんな折、今朝見た夢を思い出していた。
珍しくリアルな夢だった。
5年くらい前に付き合っていた女性の夢。
もう一切連絡も取っていない。
良い別れ方ではなかった。
世に良い別れ方があるとするならば、だけれど。
 
色んな男と関係を持つのが好きな女性だった。
散々浮気をされていた。
嘘をつかれていた。
友人にも手を出されていた。
 
別れてから一切会っていないというのに、未だに思い出す。
思い出してみては、未練というにはもうずいぶん霞んでしまった過去と、たらればの未来に思いを馳せる。
そしてすぐさま、もう一人の自分が忠告をする。
良い思い出も沢山あった。
がしかし、それを覆すには充分なほどの嫌な思い出があった。
 
でもやっぱり、あの頃彼女が本当に好きだった。
真剣に、ひたむきに想っていた。
こんなにも好きになれる女性がいるのかと、そう思っていた。
彼女の息子たちの事、そして僕ら二人を含めた人生の事、全部を真剣に考えていた。
昨日の夜、夢ではあんなにはっきりと顔が見えていたはずなのに。
あの大きい笑顔を久しぶりに見ていたはずなのに。
今思い出しても、全てが曖昧な印象なだけ。
それは悲しい事だけど、随分と年月を重ねたという事でもあるのだろうか。
 
もう春もすぐそこだというのに、今日は雪。
冬が終わるのを抗うかのように、今日は雪だ。
今年は大分雪が降った。
積もる事も多かった。
でも今日は積もらないだろう。
道に墜ちて、すぐに溶けていく。
そして冬も終わるはず。
ありふれたことのように、日々が移ろっていく。
誰もがそうやって、かつては大事だったものをゆっくり忘れて生きていく。