夏の空気に心踊る
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何故だろうか、夏は無根拠にワクワクする。
夏の匂いや、遠くで聴こえる祭りの音、ジリジリとした空気感に心が期待してしまう。
もしかして何か素敵な出会いがあるのではないか、、、と期待させてくれる季節なのだ。
結局はいつもそんなことなくて、そのまま終わっていく事も知っているのだけれど。
でも毎年今年こそは!と意気込ませてくれるこの季節が好きだ。
浴衣や夏っぽい女の子の服装もかわいいしね。
高校も大学も夏休みはバイトばかりしていた。
なので夏自体に大した思い出はない。
特に女子と花火大会やデートなんて、二十歳を過ぎてからしかない。
だから僕にとって夏休みと言えば、そこそこバイトして稼いだ金で欲しいものを買ったりとか、それくらいしか思い出がない。
だからだろうか、高校の頃に買ったヴァン・ヘイレンのCDがやたら夏とリンクするのだ。
親とも仲が悪くて、1人部屋と言えるものもほとんど無かった頃、バイトで稼いだ金でヴァン・ヘイレンの4枚組みたいなCDを買って1人で部屋で聴いていた。
アメリカのハードロックバンドであるヴァン・ヘイレン(Van Halen)はそのバンド名の通り、ドラムとギターのアレックス(兄)&エディー(弟)・ヴァン・ヘイレン兄弟が中心となって結成されたバンドだ。
僕が購入したのは2代目ヴォーカリストである、サミー・ヘイガー時代のアルバムセットだった。
今でも、サミー時代のアルバムがしっくりくることもあり、これらのアルバムが個人的ヒットだった。(BOX 1986~1993)
いいアルバムに出会えると、その当時の思い出が音楽とずっとリンクする。
周りはビジュアル系全盛期だったから同じファンもおらず、一人MDに録音してチャリで通学中に聞いていた。
歌詞を辞書で訳していたら、英語が好きになったのは思わぬ誤算だった。
今考えても、あの頃に ああいった洋楽のバンドに知り合えたのは良かったと思う。
そして今でも、そんなバンドが好きでいられる事は幸せな事なんだろうなと思う。
暑くてうだる部屋の中、必死で歌詞カードの英語を追いながら歌詞を覚えた。
ヴァン・ヘイレンの「Dreams」を聴くと、あの頃の若さと熱さと純粋さを思い出す。
爽やかでメロディアスな疾走感のあるこの曲は、その歌詞のポジティブさも相まってあの頃の僕のベストソングのひとつだった。
最初のキーボードを聴くと今でもワクワクする。
今思えば、悪くは無い時代だった。
勉強して、バイトして、憧れていた子がいて。
当時は不満と怒りばかり抱いていたけれど、無駄じゃなかった。
今になってだから、そう思えるのだけれど。
だから何となく言える事がある。
今の状況に悩み、迷っているのならば、それはずっと後になって何かしら分かることがあるはずだ。
この不安や悩んでいた時間が、きっと未来のための素晴らしい糧になっているはず。
今は分からない、不安で不満でしかないことばかりでも。
それが曲がりくねってくねって実を結ぶ事もあるのだと、そう思える。
高校生から20年くらい経つと、何かおじさんになってしまったからか、そんな風に思うなぁ。
とはいえ今でも情熱が枯れたわけでは無い。
またこの夏も、今年こそは素敵な出会いが!と懲りもせずに思っているのだけれどね。