みんな必聴、プログレッシブ・メタルの金字塔的作品。
この『Images And Words(イメージズ・アンド・ワーズ)』はアメリカのプログレッシブ・ヘヴィメタルバンド「Dream Theater(ドリーム・シアター)」が1992年に発表した通算2作目に当たるスタジオアルバムです。
本作品の大ヒットは彼らの名前と「プログレッシブ・ヘヴィメタル(プログレ・メタル)」というジャンル自体を一躍有名にさせ、それ以降「プログレ・メタル」=「ドリーム・シアター」という図式が確立されました。
1stアルバムでヴォーカルだった「チャーリー・ドミニシ」が脱退し、オーディションによって本作から元Winter Roseの「ジェイムズ・ラブリエ」がヴォーカルとして加入しています。アルバムリリースまで4年の歳月を費やす中で楽曲製作を繰り返し、ラブリエの力強く表現力のあるハイトーンヴォイスが加わる事で、作品のクオリティは格段に向上しています。また本作品は楽曲の作曲と作詞を「images」と「words」と表現するなど、彼ら(特にドラムのマイク・ポートノイ)の拘りも現れています。
メタルファンにとってもう既に語りつくされた感のあるアルバムかも知れませんが、僕にとってもずっとお気に入りのアルバムの1つです。
Dream Theater 2ndアルバム『Images And Words(イメージズ・アンド・ワーズ)』(1992年)
<アルバム曲目>
01. Pull Me Under
02. Another Day
03. Take the Time
04. Surrounded
05. Metropolis, Pt. I: The Miracle and the Sleeper
06. Under a Glass Moon
07. Wait for Sleep
08. Learning to Live
・リリース:1992年
・スタジオ: Bear Tracks Studio
・レーベル:アトコ・レコード
・プロデュース:David Prater
<メンバー>
Vo:ジェイムズ・ラブリエ
Gt:ジョン・ペトルーシ
Ba:ジョン・マイアング
Dr:マイク・ポートノイ
Key:ケビン・ムーア
ゲストSax:Jay Beckenstien
個人的レビューその他もろもろ
ヘヴィメタルの中にも様々な音楽性の異なるジャンルがあり、その中のひとつにプログレッシブ・メタル(プログレ・メタル)というジャンルがあります。
プログレ・メタルとは簡単に言うとヘヴィメタルの激しく攻撃性の強い音楽に、60年~70年代に生まれた「ピンクフロイド」「キングクリムゾン」「ラッシュ」に代表されるようなプログレッシブ・ロックの要素を盛り込んだ音楽と言うことになります。
プログレッシブ・ロックとは、従来のロックンロール(ビートルズやローリングストーンズを想像してください)に対して、非常に難解な歌詞、複雑な曲展開や組曲的な長い楽曲、更に実験的な要素を盛り込んだ「難解で複雑な」音楽と言うことになります。
プログレッシブ・ロック(英: Progressive rock)は、1960年代後半のイギリスに現れたロックのジャンル・スタイルの1つ。実験的・前衛的なロックとして普遍性からの意図的な逸脱が特徴。発生以降、一時的な繁栄にとどまらず絶えずスタイルの拡散・細分化が進んでいる。日本に於ける一般的な略称は「プログレ」。
ロックの表現方法が多様化する流れのなか、それまでのシングル用の曲作りから大幅に踏み出した制作姿勢をもつバンドを総称した呼び方である。ロックというジャンルにとらわれることなく、他ジャンルの影響を反映した、前衛的あるいは先進的(プログレッシブ)・実験的な音楽といえる。クラシックやジャズなど、その音楽のアプローチや演奏法にとどまらず、精神までも取り込もうとしていた。しかし軸足はあくまでロックの側にあり、progressiveという形容は「ロックとして」先進的であるという認識が正しい
そんな「プログレ・メタル」というジャンルが確立されたのは、紛れもなくこのアルバムが登場したからだと思っています。勿論その前から「プログレ・メタル」的な事をやっているバンドは多数居ました(フェイツ・ウォーニングやクイーンズ・ライクなど)。ただ彼らが音楽シーンに与えた影響や衝撃は、「普通のメタル・バンド」の範疇を超えるものでは無かったと思われます。それは一部のマニア止まりというか。
だけれどもドリーム・シアターの発表した2ndアルバムは違っていました。桁違いの衝撃を、普通の音楽好きの間にまで広めてしまった。非常に高い演奏技術と複雑な楽曲を、分かり易く一般受けするレベルまでかみ砕いて提示することが出来た。複雑なのにキャッチー、難解なのに爽快、メタルなのにポップ、、懐かしくもあり新しさもある。これら相反する様々な要素をその身体に宿し、無理なく無駄なく表現出来た本作品は、現れては消えていった幾千ものフォロワーが理想と掲げるフォーマットとして確立しています。
そしてプログレッシブ・メタルとは?という問いに対して、この『Images & Words』を聴けば分かるという答えが今も変わらないのが、このアルバムの凄さを物語っていると言えます。
また新ボーカルのジェイムズ・ラブリエ加入によって、歌唱力や表現力の高さが楽曲の幅を広げ、彼らの求める音楽を妥協する事無く追求出来た事もこの成功の1つだろうと思います。前ボーカルのチャーリー・ドミニシは線の細いボーカルで、やっぱりそこはマイナー感を漂わせてしまう部分だったかなと思うし、ドミニシに比べてルックス的な面でも改善されたと思いますしね。
またプログレ・メタルと言えば、難解でテクニカルな事を演っているという印象が強いですが、このアルバムは非常にメロディアスで聴きやすいです。プログレ要素とメタル要素とポップ要素、そのバランス感が絶妙で素晴らしく、今も古臭さを感じさせない普遍性を持っています。
このバンドの事を最近知った方であれば、最近のアルバムよりもこのアルバムを聴いてみてください。若さと才能あふれる彼らの原点が伺えますよ。
本作品のオススメ曲
#01. Pull Me Under
やっぱド定番のオープニングは外せない。落ち着いた雰囲気のイントロから、メタリックなリフへと繋がる、ミドルチューンのメタルソング。ギター持ってたら、みんなイントロの部分とリフ弾きますよね(そんでギターソロで挫折する)。ケビン・ムーアのスペーシーな音色と絡みつつAメロBメロと進み、サビで一気に爆発するのがカッコいい。ライブはみんなでポーミアンダー、ポーミアンダーと叫ぶよなぁ。
#02. Another Day
初めて聞いた時は、「なんちゅうもんを聴かせてくれたんや・・・」と京極さん(美味しんぼ)の様な感想を抱いてしまった、非常に美しいバラード。ギターソロが哀愁あってカッコいい、それでいてアウトロの素晴らしいサックスが最後を締めくくる。最初から最後まで美味しく頂ける究極であり至高の1曲。
#03. Take the Time
変拍子とテクニカルなギター、跳ねるようなドラムが最高な曲です。高学歴音楽変態野郎共が捻り出したウ〇コって感じ(褒めてます)。ファンキーさとメタルさがいい塩梅でミックスされたアップテンポな1曲。ファンキー要素って、90年代って感じするな(根拠は無いです)。
#05. Metropolis, Pt. I: The Miracle and the Sleeper
もうメトロポリスと言ったらドリーム・シアター。手塚治虫でも大友克洋でもないですよ。本アルバムで最もプログレ・メタルなのはこの「Metropolis part1」だと思います。最初何度聞いても理解できなかったですもん、楽曲は長く複雑でテクニカル、歌詞も複雑で意味が良く分からなかった。でも聞く程に気持ちよくどんどんハマって行くんですよね。part1とか付けちゃうのが、次を期待させるエロい演出です。そしてそのpart2で停滞していた彼らが復活するのはまだ少し後の話。
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