新ボーカリストを加え、世界へ飛び出したカボチャたち
先月末の10月31日はハロウィンでしたので、ドイツのバンド「ハロウィン」を紹介します。
ハロウィンについては以前、「My God Given Right」についてレビューしました。
今回は彼らが世界へ飛び出すきっかけともなった名盤『Keeper Of The Seven Keys Part1』です。
HELLOWEEN『Keeper Of The Seven Keys Part1』
曲目:
01.Initiation
02.I’m Alive
03.A Little Time
04.Twilight Of The Gods
05.A Tale That Wasn’t Right
06.Future World
07.Halloween
08.Follow The Sign
リリース:1987年5月
スタジオ:ー
レコーディング:Horus Sound Studio
レーベル:ノイズ・レコード、ビクターエンタテインメント
プロデュース:トミー・ニュートン、トミー・ハンセン(Co-produced)
メンバー:
Vo:マイケル・キスク
Gt:カイ・ハンセン
Gt:マイケル・ヴァイカート
Ba:マーカス・グロスコフ
Dr:インゴ・シュビヒテンバーグ
レビューと感想
1987年5月に発売された2ndアルバムであり、ボーカル、ギター×2、ベース、ドラムの5人体制で初のアルバムになります。
邦題は「守護神伝 第一章」、時代感漂うダサカッコいいタイトルですが、僕がバンドを組んでいたら絶対に付けないであろうタイトルです。
しかしコレ、「ジャーマンメタル」というマイナーなジャンルが世界へ飛び出した第一章であり、記念すべき1枚なのです。
まずは何といっても新ボーカリストであり、今でも多くのメタルファンからリスペクトされている希代のボーカリスト、マイケル・キスク(最近だとキスケとも表記される)の加入よる、バンド全体のスケール感が増したことが挙げられます。
カイはどちらかと言うと高音と低音に強く癖のある声質であったのに対して、キスクは甘い低音からクリアな高音まで幅広く、どこまでも伸びる力強いボーカルスタイルが特徴です。
両者共に好みは分かれますが、表現力を伴い様々なスタイルの曲が歌えるキスク無しではこれほどメジャーになることはできなかったと思います。
また、カイもキスクの音域に合わせて自由に作曲できるようになった事もあり、楽曲のバラエティは1stを超える素晴らしい出来でした。
殆どの楽曲をカイが作曲しており、ヴァイキー、キスクも作曲に多く加わった「Keeper~Part2」の方がバラエティに富んだアルバムではありますが、どちらも名盤であることに間違いなしです。
カイもヴァイキーと共にツインリードギターで自由に演奏しており、若き才能が爆発しています。
しかしこの頃のキスクはイケメンです。
キスク加入によってバンドのイケメン度も増した事も、バンドをメジャーに押し上げた(特に日本で)一つの要因だと思っているのですが、どうでしょうか。
真ん中で分けた金髪のロン毛をなびかせ、デニムとジャケット姿のどうってこと無い格好に長い手足、そして勇敢なケツアゴにノックアウトされた女子は数多くいたことでしょう。
今ではプックリとしたスキンヘッドで「爆弾岩」みたくなってますが、そのハイトーンは衰えを見せていません。
曲構成はジャーマン系・メロスピ系で多用される、期待感を煽る短めのインストの1曲目「Initiation」の後、間髪を入れず疾走感とヘヴィさを兼ね備えた2曲目「I’m Alive」に続くという展開です。
今では散々使われている曲の流れですが、コレってハロウィンが初めなんじゃないかと思います。
現在でも歌われるポップな6曲目「Future World」、13分を超える中に目まぐるしい曲展開が盛り込まれた、まさにハロウィンのような7曲目「Helloween」など、40分程度の短い中に充実した楽曲が詰まっています。
特徴として、2曲目「I’m Alive」、4曲目「Twilight Of The Gods」、6曲目「Future World」など、ポジティブな歌詞が多く生きる希望や未来について歌っている曲が見られるところ。
また、アートワークや本人達のキャラクターも含め、メタルの中にも明るく親しみやすい雰囲気をまとっているのもこのバンドの特徴です。
ここから日本でもジャーマンメタルに火がつき、その後守護神殿ー第二章ーを発表することで確固たる地位を築くのですが、それはまた後の話。
■個人的オススメ
■HELLOWEENの公式HP