GloryDazeDays

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【雑記】昔の友人を懐かしく思うとき、一抹の切なさもある

からあげクンて美味しいよね

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[http://photo credit: 3 SUPER SAIYAN BROTHERS via photopin (license)]

ローソンで何時も見かける「からあげクン」はご存知だろうか。

あの、レジ横で温められている一口サイズのから揚げが5、6個入った昔からの商品だ。

僕はコレを見るたび思い出す人物が居る。

かつて小中学校で一緒だったS君だ。

彼とは塾が一緒だったので学校ではあまり行動をともにしなかったけども、塾の日だけは行き帰り一緒に寄り道をしていた。

彼は親が自営業ということもあり、夜もコンビニで晩御飯を買って食べるような少年だった。

小学校の頃の僕にしたら、それはとてもとても大人びた行為に見えた。

 

塾の帰りはコンビニへ

塾の帰りは道の途中にあるコンビニへ良く向かった。

僕はお小遣いが少なかったため、あまりお金を持っていなかったのだけれど、S君は違った。

沢山のお小遣いの他にも晩ご飯代も貰っているのだ。

そして気前が良かった。

一方、僕はいわゆる普通の中流家庭に育った。

食べるものや着るもの、進学の際に学費を心配することは無かった。

しかし親の教育方針で非常にお小遣いが少なかった。

そのため、ハングリー精神は乏しいくせにいつも貧乏な感じの少年であった。

それがいいのか悪いのかは、今となっては良くわからないのだけれど、当時は奢ってくれる友人に対して、絶対に勝てないという敗北感を抱く子供であった。

「奢ってもらう」その行為自体は勿論とてもありがたかったし、普通に奢ってもらっていた。

でも何でウチはお小遣いが少ないのだろう?みたいに良く考えていた。

ただウチはエンゲル係数が高く、時おり家族で高級な食事に行くような家庭だったので、プラスマイナスゼロなのかなぁなんてことも思っていた。

そこは両親の食に対する考え方みたいな、教育の一環みたいなものだったように思う。

テーブルマナーに早いうちから慣れておくべき、みたいなヤツだ。

だから子供の頃から生意気にも味にうるさかったように思うし、色と化学調味料まみれのあまりにもジャンクな食べ物は苦手だった。

 

ある日の帰り道

僕はその先週におばあちゃんの家に行っていて、お小遣いを貰っていた。

奢ることのできる自分になりたくて、コンビニで「からあげクン」を買った。

それは、当時の小学生にしては少しばかり高い買い物だった。

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ローソン広報 Smile Blog|ローソン

二人で外の階段に座りながら食べていると、S君はずっと渋い顔をしていた。

僕はその「からあげクン」がかなりしょっぱいなぁと思いながら食べていたので、そうなのかと思った。

「コレ、全然味がしないよ」

S君は僕と同じものを食べていたにも関わらず、全く反対の味覚を持っていたのだ。

もしかすると、コンビニご飯を食べ過ぎて濃い味付けしか受け入れられなくなっていたのかもしれない。

それにしても、全く味がしないとは程遠いくらい強めの塩味だったのだ。

実はS君の実家はお寿司屋さんで、彼もそこを継ぐと思っていた。

彼の味覚でそういった繊細な味を求める仕事につけるのだろうか?と上から目線な心配をしたことを覚えている。

そして話しをする中で、彼は寿司ネタの中でも光り物が全く食べられず、基本的に生ものが嫌いだということが分かった。

「えー!!!寿司屋なんて絶対無理じゃん!!!」と親の期待に対する彼の苦悩も知らず、少年だった僕は残酷にも突っ込んでしまった。

「でも、タコは一応OK」

「いや、タコは茹でてるし」

そんな彼とは塾をやめ、学年が上がるにつれ疎遠になっていった。

いつしか進学し、学校もバラバラになり、思い出すことすら全く無くなっていた。

 

やがて大人になり随分たつ

大学生の頃、風のうわさで彼のことを聞いた。

なんと彼はお寿司屋さんを継がず、たこ焼き屋さんで働いていたのだ。

・・・「コレ全然味がしないよ」

・・・「でも、タコは一応OK」

S君は、あの頃の味覚のまま大人になっていた。

寿司ネタの中でも一応食べられる「タコ」を選び、かつ「濃ゆい味」を求めた結果がたこ焼きやさんだったのだろうかは分からない。

しかし僕にはその決断がとても腑に落ちた。

彼はワイワイ明るいヤツでジャンクで濃ゆい味好きだったもんなぁ~と。

たこ焼き屋さんの雰囲気と妙にマッチしたのだ。

 

そして今では彼が何をしているのか分からない。

気前が良くて明るい彼は、きっとどこかで仲間に囲まれながら楽しくやっているのだろう。

10年ほど前、実家から離れ一人暮らしをする頃、お寿司屋さんの隣の大きなスーパーが無くなっていた。

あの頃世界の全てだった、果てしなく巨大だと思っていた街はとてもとても小さく見えた。

そしてそこには、ご両親がやっているお寿司屋さんだけが小さく残っていた。