GloryDazeDays

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秋葉原の『ラーメンいすず』とグッドオールドデイズ。

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[http://photo credit: Imahinasyon Photography Akihabara Japan via photopin (license)]

昔、秋葉原がまだ電子街であった頃。

それは25年くらい前の話だ。

当然ネットもなくて、新しいゲーム、コンポや手の届かなかったPCを見たりなんかしに、よく足を伸ばしていた。

あの頃は雑誌か友達の兄ちゃんしか情報を得る手段がなかったから、ファミコン系の雑誌で読んだ記事や友達に聞いた記憶を元に、実物を見に行って実際に触り、テンションが上がるって感じだった。

テンションだけ無駄に上がったのち、お金もなくて何も買えないので、いつもそのまま家に帰ったものだ。

 


午前で学校が終わる日は、家にカバンを置いてそのまま秋葉原へ向かうと(うちから電車で15分程度だった)、人も少なくて僕はその全部を独り占めできた。

そんな時、どのお店にも大学生のお兄さんがお客で居て、分かりやすくメカのことを教えてくれた。

古き良きオタクって人たちだったのだけど、とても親切でいい兄貴って感じだった。

穏やかでフレンドリーで、でもどこでそんな情報を仕入れたの?って不思議さがあり、尊敬の念を抱いていた。

僕が理系というものに憧れたのは、ああいった人たちの影響もあると思う。

 

 

それで、いつも帰る時に混んでいたのが、駅前にあった「ラーメンいすず」だった。

「しょうゆラーメン」と「しょうゆラーメン(大)」というシンプルなメニューなのに、いつも店先は10人ほどの列になっていたのだ。

水曜は確か50円引きか100円引きで、さらに混雑していた記憶がある。

その近くを通って駅に入るたび、美味しそうな匂いと麺を茹でるモワモワとした湯気に包まれていた。

高校生になってバイトもして、自由にラーメン食べるくらいになってからはそこでよく食べるようになった。

店長と若い弟子の二人で切り盛りしていて、並ぶ列の先頭付近になると、ぶっきらぼうな店長から「そちらは?」みたいな事を聞かれた。

それはメニューの「普通」か「大盛り」かを聞いているのだけれど、もちろん初めは良くわからずに戸惑ってしまった。

そう言った暗黙のルールにも動揺することなく、券を見せつつ「普通!」などと言えるようになってくると、自分もこの店の常連のような気持ちになって悪くはなかった。

あの頃はまだ駅も汚く雑多で、街全体が垢抜けなくて、なのにどこよりもハイテクで、矛盾と無限を感じる素晴らしい街だった。

 


でもいつしかそんな街以外にも浮気するように僕の興味は拡散し、しばらく足も伸ばさなくなった頃。

大学生になり久々に秋葉原へ行くと「ラーメンいすず」はもう無くなっていた。

、、、無くなってから大切さに気づくのは今も昔も変わらない。

もうあのラーメンは食べることができないのだ。

いい意味で超普通で、しょうゆの色と味が濃くて、メンマが大量で、小口切りとは言い難いような太いネギで。

食べ応えのある分厚いメンマを噛みしめながら麺をすすっていると、スープの熱で徐々に太いネギに火が通るのが好きだった。

寒い日にあのスープを飲むと本当に身体に染み渡り、なんとも言えない安心感と美味さがあった。

そんな、気立てのいい一途な田舎女のような、僕にとってはそんな店だったのだ。

秋葉原の帰り、今日は晩飯を家で食うぞと決意しても、何故だか毎回食べたくなって、結局ハフハフと麺をすすっていた。
(そしてその日は晩御飯が食えなかった)

カウンターのサラリーマン達を見ながら、大人になったらこうしてスーツで帰りにラーメンを食うのだろな、と思ったものだ。

 


今でも寒い日に外でしょうゆラーメンを食べると、いつもそんな事を思い出す。

そんな懐かしの思い出は、湯気とともに夜空に消えていくのだった。

おしまい。

 

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やっぱりみんな好きだったんだなあ。

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