GloryDazeDays

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【雑記】風が吹き、トゥクトゥクは走り出す

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朝6時に出発したトゥクトゥク(荷台のついたバイクタクシー)は上ってくる朝陽を横目に、スピードを上げて走っていた。
眠さはあったが、身体全体で受ける風がとても気持ち良い。
道には早朝だというのにバイクや車が走り、先を急いでいるようだった。
父母子3人乗りのバイクや、両脇からはみ出す荷物を括り付けた車が僕を抜かしていく。
こちらの運転手も負けずに、舗装がイマイチな道を縦横に揺れながらどんどん進んで行った。
 
道を進み1時間ほどするが、道路の脇は相変わらず民家や川や木々しかない。
その所々で結構大きな煙がモワモワと立ちこめ、何か焚き火をしているようだった。
しばらくしてトゥクトゥクは道の脇に寄って行き、その煙立ち込める民家の軒先に止まった。

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そこには20cmくらいの長さに切った竹の筒が何十本も火にかけられている。
遠めから見えていた時は、何かの工芸品を作る過程なのか?と思った。
運転手が片言の英語で「朝食をたべないか?」と聞いてきた。
その竹を割り、中からもち米と豆の入った食べ物を渡してくれた。
あとで調べたところ、「Kralan(クロラン)」という郷土料理だった。
竹筒に入れたもち米と豆をココナッツミルクで蒸した「おこわ」のような料理だ。
 
僕はもち米に付いた竹のカスを気にすること無く、そのままかじるように食いついた。
出来たてホクホクでふんわりと甘く、竹の香りもする。
モチモチとした食感で、やさしい味だ。
そうか、道行く人たちに向けて、朝ごはんを提供する食堂のような場所なのか。
そんなことを思いながら食べていた。
 
「あの、日本人の方ですか?」
別のトゥクトゥクに乗ってきた女性が話しかけてきた。
彼女もここで朝食を食べるためにトゥクトゥクを停めていた。
ショートカットの似合う、色白で可愛い女性だった。
服装や装備からも旅慣れた雰囲気があった。
一人旅をしている女性に見られる、行動力と聡明さを感じた。
 
少し話をして、僕らは同じ遺跡まで行くことが分かった。
目的地は「天空の城ラピュタ」の元ネタになったと言われている遺跡で、以前から見てみたいと思っていた場所だ。
折角だし、一緒に遺跡を周ることになった。
遺跡巡りの後、「トンレサップ湖」という東南アジア最大の湖へも同行させてもらうことにした。
 
思いがけない展開に驚きつつも、今日の遺跡巡りは楽しそうだな、と思った。
いや、もうすでにこの状況が楽しかった。
朝陽はさっきよりも上り、空は晴れていた。
だけどまだそこまで暑くない。
朝食は食べ終えたし、目的地まではまだまだ距離がある。
運転手がエンジンをかける。
土っぽい風が吹き、そしてトゥクトゥクは走り出した。