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松田洋子『好きだけじゃ続かない』(全1巻) 日曜の夕方に読むとツラいけど、月曜も生きていくのサ。

人生すべて、好きだけじゃ続かない。

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暗い人生漫画が好きで、以前からよく読んでました。

松田洋子は女版「土田世紀」のような感じが好きなんですが、内容は重く暗いものが多い。

最近また読んだら、結構ずっしりときたので紹介します。

タイトルがすべてを物語ってますが、人生色々な場面で好きなだけじゃ続かないもんだぜ〜・・・と一人暮らしの家に帰る、そんな帰路のようなお話を含む短編集。

日曜の夕方のサザエさん症候群の人生版のような、今自分は絶望的に不幸せなわけじゃないのに、何だこの喪失感は・・・もっと大人になってるはずだったのになぁ・・・このまま終わっていくのか?そうなのかな?って日常を過ごしている、そんなアラサー・アラフォー男子に読んでいただきたいです。

※一部ネタバレ有りです

松田洋子『好きだけじゃ続かない』全1巻

◆作者:松田洋子(まつだひろこ)

◆連載期間:ー

◆掲載誌:本人、ユリイカ

◆解説:

「二人乗りして一緒に夕日を見たら喜ぶはずって、なんで思い込んどったんじゃろう」――まぶしいほどに真っ直ぐで、跡形もなく終わった初恋の記憶……。「月刊コミックビーム」発表の最新作『好きだけじゃ続かない』他、長きに渡り単行本化が待ち望まれていた著者の自伝的フィクション『平凡なヨウコちゃん』(「本人」連載作)、『青空必携1982』『ビックリハウス・ゲイトウェイ』(「ユリイカ」掲載作)を収録。『ママゴト』で第42回日本漫画家協会賞【優秀賞】、第3回広島本大賞【特別賞】を受賞した著者が贈る、青春と、ふるさとと、家族の、切な過ぎる物語たち

 

大人になりきれるかなりきれないかの差

個人的な見解なんですが、年齢関係なく大人になれない人って、学生時代の後悔を引きずってる人が多い気がします。

そしてそのトラウマで何も挑戦できてない人たち。

かくいう僕もそうなんですが、学生時代にちゃんと恋愛するとか、部活を頑張るとか、親友を作るとか、そう言った青春と呼ばれるものを取りこぼさなかった人は結構いい大人になってます。

ヤンチャしてて遊んでいたヤツがちゃんと家庭を持ったり、家のローンで苦しいけど子供可愛い、みたいな。

あとは土日に同じ部署の人たちで奥さん・子供連れてみんなでバーベキューしちゃったり。

タイトルになっている「好きだけじゃ続かない」ってのは作中で主人公の父親が一言話しただけのセリフなんだけれども、そのテイストが作品全体を表していて自分も親との関係だったり過去の苦い思い出なんか思い出してしまったりして時折苦しい。

内容は寝たきりになっている母親を見舞いに来た主人公の岸部が、中学校時代の同級生である山元由香里を見かけるところから始まります。

彼は中学校時代、登校中に田んぼにはまった彼女を助けたことがきっかけで、交換日記を始めたのでした。

遠慮がちに、しかし着実に距離を縮めていたはずなのに、些細なことの重なりで何も伝えないまま二人は離れていくのです。

その後一家の中心だった父親はあっけなく死に、美しく優しかった母は老いて寝たきり、やんちゃで可愛い弟は音信不通の今。

何を拠り所に生きていけばいいのか。

そんな時、山元さんが主人公に気づく。

どうする岸部、あの頃言えなかった事を言うのか・・・。

そんなお話です。

DMM立ち読み:好きだけじゃ続かない

 

この漫画のココがオススメ

1.中学時代の甘酸っぱい恋心と現在のギャップ

高校よりも中学の恋は秘め事って感じでしたよね。

そんな主人公の気持ちが痛いほどわかり、甘酸っペー感じが胸に響く。

これは甘酸っぱいというか、ほぼほぼ酸っぱい、まだ熟れていない時代の話。

そんな恋の実は渋さと酸っぱさでいっぱいだから思い出すのはつらいもの。

2.普通の家庭の描写

ネガティブで不幸な家庭という訳じゃないのだけど、大人になったら親の介護とか兄弟の問題とか、みんなこういう大変さを抱えるのだろうなと。

大人になるって、辛いなぁ。

岸部のこのセリフが突き刺ささります。

さびしさが悲しかった頃は良かった。

あんなに泣けるんも、誰かが涙を拭いて優しくしてくれると思うとるからじゃ。

これから来るさびしさは、ただ恐ろしい。

自分をつなぐもんが無いのに、俺が生きとる理由も無いじゃないか。

しんどい。

3.他の短編もいちいち心に刺さってくる

自身の少し自伝的な漫画である「平凡なヨウコちゃん」は、サイコパス系のヤバい祖父母と、調子の良い父親とメンヘラな母親に育てられたヨウコちゃんの話。

「青空必携1982」「ビックリハウス・ゲイトウェイ」はもう少し大人になった高校生くらいの話。

何となく色っぽくて、少し浮いた雰囲気の女子っていたなぁと思い出させる短編です。

あの頃の僕は、女子はみんな真面目で予習復習してる人たちばかりだと思っていたので、何となくやる気が無くてぼーっとしてる女子が不思議で仕方なかったです。

そんな子をやる気の無い自分がぼーっと見ていた高校時代。

 

まとめと思ったこと

・『好きだけじゃ続かない』を読んで人生を想いちょっと暗くなる

・学生時代の恋とも言えない不器用な二人の振る舞いが心に響く

・好きだけじゃ続かない、でもやっぱり好きじゃ無いと続かない世の中にいる

 

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